はましぎじゅつ

モータードライバはいいぞ

技術同人誌「つくろう!モータードライバ」ができるまで

はましぎです.

技術書典6も終わり,落ち着いてきましたね.

一般参加者のなかには,自分も本を出してみたい!と思た方もいらっしゃるのではないでしょうか.

そんな方のために,私が「つくろう!モータードライバ」という技術書を書き,技術書典に頒布するまでの流れを振り返ってみたいと思います.

当日の様子はこちらの記事からどうぞ.

 

きっかけ

2018年 4月 技術書典4 開催

初めて「技術書典」というイベントがあるのを知りました.(イベントに行ってはいません)

「なにこれ,すごい.同人誌ってえっちなやつだけじゃないんだ」

とても衝撃を受け,技術書典と技術同人誌のことを調べまくりました.

結果,技術書典に出てみたいという感情があふれてきました.

 

執筆開始

2018年 8月

書き始めました.でも,「技術書典5」の参加応募締め切りは過ぎていたので,半年以上後の「技術書典6」で出す前提での執筆開始です.

↓初めて書いた構成案です.(GANの説明とか絶対できないくせに・・・)

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書いた技術書の当初の目的は高専時代に得た技術を後輩に遺す事でしたので,それベースの内容で執筆を進めました.

 

2018年9月 ひたすら本文を書く

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執筆環境はwordです.この頃は見出し機能を使いこなしていないみたいですね.

他のサークルのみなさんはRe:viewなどで書いておられるようですが,執筆環境を整えるくらいなら目の前の技術書に注力したいと思い,そのまま最後までwordで書きました.

また,この頃から始めたバイトが超ホワイト※1でしたので,バイト中の暇な時間はずっとPCで執筆していました.(労働時間より執筆時間のほうが多いかもしれない)

 

※1:どのくらいホワイトかというと,暇なときにみんなでPUBGやるくらい

 

2018年10月 技術書典5 開催

技術書典6に参加するための下見として,技術書典に初めて参加しました.

参加者が1万人を突破し,大変なにぎわいになりましたね.

初めて技術同人誌も購入しました.

 右上にある「TOGETHER」という本は,高専の14年入学者(私と同じ)で構成されたサークル「kosen14s」によって書かれた作品です.これの存在を知ってより一層モチベが上がりました.(興奮のあまり,翌日kosen14sに加入してしまった)

 

この時点で本文は8割ほど完成しています.

 

2018年11月 台湾旅行でも

 一人で台湾に行ってみました.飛行機の中やホテルでモータードライバの設計をしました.ここで設計したMDは「つくろう!モータードライバ」の表紙を飾ったり,技術書典6で展示したりすることになりました.

 

2019年1月 技術書典6開催決定!

 待ってましたと言わんばかりに,サークル参加申し込みをしました.本文は大体出来上がっているのに,申し込みボタンを押すのを何度も躊躇っていた記憶がありますw

でも決心して申し込みしました.

 

表紙を考える

表紙は絵師さんに

「本の表紙は美少女がいい!」と以前から決めていましたので,ココナラというサービスを使って「イラスト かわいい」で検索してヒットした1000人くらいの絵師さんのマイページを見て回り,一人を選びました.選ばせていただいたのが「まにまに」さんです.

 

好みの絵師さんを見つけたら,お仕事のお願いをします.

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↑実際に送ったメールの一部.

イメージと書いてほしいキャラを,私の好きなアニメキャラを羅列して指定しました.アニメキャラを公開するのは,クラスの好きな子を友達に教える時ぐらい恥ずかしいです.でも私が望むキャラに少しでも近づけるためには必要な情報なので,Delキーを押したい気持ちをグッとこらえて送信します.

 

そして実際に仕上がったのがこれ.(実際はラフやらデザインやら製作過程があります)

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最高にかわいいですよね.1週間くらい思い出してはニヤニヤしてました.キモイですね.

タイトルや背景の基板の処理もしていただきました.基板をただ単にイラストの後ろに配置するだけだと違和感が生まれるので,これを解消するための処理です.何をしたのかは分かりませんが,全然違和感ないですよね.すごいです.

 

本文に挿入する2頭身キャラも描いていただきました.かわいい・・・

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先ほど申し上げた通りwordで執筆していますが,wordの初期設定で「画像は200dpiに圧縮されてしまう」事を知らずに入稿してしまったせいで,イラストが荒くなってしまいました.せっかくきれいに描いてくださったのにもったいないことをしました.

※設定を変更することで圧縮させないようにできますが,その分ファイルサイズも大きくなります.

もし改訂版を出す際はここもキレイにしておきます.

 

2月上旬 サークル当落発表

2月5日,サークル当落発表がありました.その日の授業は耳に入ってくるわけもなく,休み時間になる度にサイトを確認していました.

 19時ごろ,ついに発表されました.

 応募数680・当選数455なので,当選確率は67%くらいです.今後も当選確率は減っていきそうですね.

私は周りのサークルさんより比較的はやく表紙を発注したので,当選しないととても悲しい状況になっていたので安心しました.

 

2月末 卒研がピークを迎える

高専の卒研発表は2月末で,論文作成と発表スライド作成に3週間以上時間を奪われました.この時期に執筆時間が削られるのは痛いです.

 

3月上旬 長野に逃げる

友人に誘われ,誘惑に負けて長野旅行へ.(fig : takibi hutからの白樺湖)

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雪に感動しつつ,特急電車での移動中はすべて原稿執筆していました.逃げても〆切は迫ってくるので,PCを持っていきました.えらいぞ.

 

3月中旬 ①図を書きまくる

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文字だらけの本文に(↑こんな感じの)図を入れる作業をしました.作図ソフトはパワポです.UIも分かりやすくて意外と見やすい図がかけますが,凝った図が書けないな~と思った事が多々ありました.これからはAdobe製品を勉強したい.

 

「技術書の図を書く技術」とかいう本を誰か書いてください.僕が買います.

 

3月中旬 ②レビューをお願いする

先輩と後輩に一人ずつレビューをお願いしました.

先輩には私が曖昧な理解になっている箇所をバンバン指摘していただいたので,ヒーヒー言いながら調べて書き直しました.

後輩には理解できない点を教えてもらいました.この本の対象読者が丁度この後輩くらいのレベル(かんたんな電子工作なら一人でこなせる)を想定して作っていますので,ここで指摘された点を元に内容を見直しました.具体的には,3章の熱設計の見出しレベルを整えて論理構造を把握しやすくしました.この熱設計の章は見出しレベルが5個くらいあるので,非常に管理しにくかったです.これだけあったら読む側も混乱してしまいますよね.これからの課題です.

余談ですが,本文内で「コラム」として掲載している項は本文の見出しの数や種類を少なくするための工夫の一つです.

 

レビューにご協力いただいた2名の方々,ありがとうございました。

 

 

3月17日 一般サイト公開!

ついに技術書典6のサイトがオープンしました.

 それに合わせて頒布情報を公開.

この日は引っ越しで,段ボール箱が散乱している新居で孤独に放ったツイートです.

床に座って頒布情報を書きました.

 

3月20日 日光企画へ!

 声のかわいいお姉さんに入稿データの確認と見積もりをして頂きました.

表紙に問題があったそうで,塗り足しが少ない事を指摘されました.あと,背表紙も本の枚数によって異なるので,ここもきちんと計算して修正していただきました.

まにまにさんがpsdデータで納品してくださったので編集ができて助かりました.

 

「初めて同人誌製作するときは印刷所に行きましょう」と先駆者の皆様がおっしゃっていたことが分かりました.絶対どこかミスってます.印刷所に行きましょう.日光企画はとても親切だったのでおススメです.

 

3月下旬 発注部数を考える

同人イベントで難しいのが,冊子の発注部数です.今までの傾向より,技術書典の「被チェック数※1」というのが参考になる事は分かっていたのですが,やっぱり難しいよこれ.

※1:サークルに「いいね」してくれたお客さんの数

↓サイト公開から数日後のツイート

 実際は200部でも足らなくなるなんて思いませんよね.

 

ちなみに,被チェック数の推移はこのようになりました.

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入稿時は62,技術書典6開催後は258でした.サイトオープン直後に40ほどになり,その後2週間ほど線形的な増加傾向を見せます.そして4/7くらいから傾向が変わり,指数関数的な増加傾向になります.みんな技術書典の1週間くらい前からチェックしだすのですね.

入稿時に62まで伸びていたので,ここからいかに当日のチェック数を割り出すかが爆死回避の指標になるでしょう.私は先駆者が公開している情報で当日の異常な伸びが発生する事を知っていたので,当日200程度になる事はある程度予想できていました.でもまだ足りなかったですね.難しい.

 

他の参加者さんも被チェック数のグラフを公開していますので,誰か関数を割り出してください!

 

4月2日 入稿完了

入社式を終えて疲れ切った体で最後の校閲作業をして,深夜2時半にWEB入稿しました.死んでしまうよ.

翌日の研修は眠気との闘いになりました.

 

宣伝がんばる

早割に間に合い,当日までの2週間を宣伝に注力することができました.

FFの仲良しさんたちが全力でRTしてくれたので,多くの注目を集める事ができました.

 ポスター制作もがんばりました.

結構楽しかったです. デザインに興味が湧きます.

 

当日

思いっきり楽しみました.

その時の記事はコレ.

 

 

 

まとめ

・wordでもmarkdownでもいいのでとりあえず文章を書いてみよう

・図もパワポで書けるので描いてみよう.別ソフトは不満になったら考えればいい

・表紙はプロにお願いして,サークルカットで注目を集めて多くの人に見てもらおう

・入稿は早め早めを意識して経費を減らし,告知時間を増やそう

・一度でもいいので印刷所にいってみよう.お姉さんとお話できるぞ!

・宣伝をしてFFの人に広めてもらおう

・結局は自己満足だ.できることはやって後悔しないようにしよう.

 

 

以上です.誰かのお役に立てれば幸いです.

ブログの内容でも,僕の書いた本に関する技術的な内容でも,分からない事があったらTwitterなりコメント欄なりお気軽にご相談ください.

 

 

 

 

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ちょっとだけカラーになっているぞ!